外来の裏話

カルテNo,9 バラにはトゲがある?

患者
25才の大手会社のOL
主訴
痛い
ストーリー
ある日,電話が鳴る。 「先生,婦人科の病気にかかったらしいです」と元気がない。 すぐに受診する事を勧めた。 お嬢さん風の綺麗なお嬢さんである。 クスコを入れてこれはびっくり。 医者になって初めて診るおりもののおびただしい量である。 「いつ頃からですか?」と尋ねると「何がですか」と言われもう一度びっくり。 本人はこの異常さに全く気がついていない。 親切にも「おりものの量が非常に多いようですね」と教えると「えっ?本当ですか?」と驚くのである。 「みんな,こんなもんじゃないんですか?」と本人も言われて初めてびっくり。
考察
時として似合わない症例がある。 綺麗な人が水虫がひどいと思うと,まさかと思う人が綺麗な足を持っていたり。 やっぱり人は見かけによらない。 肥満やニキビで悩んでいる人は心が温かい人が多い。 コンプレックスがこの人に自信を失わせ,謙虚な人生を歩ませているのだろう。 何かの時にだからこそと頑張るタイプとだからといってあきらめる2つのタイプがいる。 後者のタイプに医師は自信を持たせるべきであろう。 本症例は無知以外の何者でもない。 バラにはやっぱりトゲがあった。