外来の裏話

カルテNo,6 医師は患者に雇われている?

患者
初診の26歳の女性
主訴
ピルが欲しい
ストーリー
診察室に入るといきなりバックとコ-トを投げ捨てるようにかごに入れる. どうなさいましたか?と尋ねると○○(薬品名)下さいである. 以前飲んだことはありますか? 副作用はご存じてすね?と尋ねると知っています. の一言のみ. ○○は在庫がなく,●●ならありますが,中身は全く同じであると説明すると 顔を睨みながら,○○じゃないとイヤですと言う.やむなく,処方箋を出すため,ここまでする必要はないと思いつつ,珍しい薬でもあったため,在庫を持っていそうな薬局を探して上げる. 数件電話してやっと見つけてあげると,当然ながら有り難いと思う素振りは全くない.今度は3ヶ月分欲しいと言う.この薬は保険外の薬であっても,そんなに大量には出せないですよと説明するともう一度睨みながら,仕事上必要なんですと譲らない. もう,2度と来ないだろうなと思いつつ,これだけはできないと丁寧に断った.
考察
最近この種のタイプの患者さんが増えて困っている. 多分,他の病院でこの様な患者さんのわがままを受け入れてきた責任も大きい. 医療収入を優先させてはならない. 間違えたらその筋の人が脅しに来るかもと言う不安もあったのかも知れない. 医療は受ける権利がある反面,与える権利もある. 医療を受ける側もある程度信頼して受診して欲しい. 診療の内容によっては診療拒否ができる. タクシ-の乗車拒否とは違うので勘違いしないで欲しい. 女性特有のヒステリ-もあろう,ピルが解禁になっていないいらだちもあろう. どきどき,ここは薬局ではないと言いたいぐらい勝手に指定した薬を買いに来るのは困ったものである.