外来の裏話

カルテNo,47 どちらが本当の病気?

患者
28才の男性
主訴
風邪引いた
ストーリー
問診票に咳と鼻水と書いてあったが診察室に入ると,やっぱり 「咳と鼻水....」と言う.その診察が終わると言いにくそうに小さい声で「膿が出るんです」と続く.「何,鼻から膿が?」「いいえ,あの.....」慣れている私は「何時遊んだの?」と切り返して早速膿の検査へ. 結局,淋病の診断のもと,その治療の運びとなり風邪薬は要らないことになった.
考察
これを読んで笑う人も多いかも知れないが,笑い事ではない. 二人分の手間暇かけて一人分の治療費しかもらえない. 初めて来るから警戒心が強く,近くの人でんい場合が多いのも特徴の一つ. 私たちは患者さんの歩き方,表情から疾患を見抜く習性を学生の頃から学ぶのだが, こんな時は何度も騙される. 第2の主訴は水虫であったり,湿疹であったり様々である. もちろん,両方の病気で診てもらう場合もあるが,順序として本当に診てもらいたい疾患を必ず後で言う. この先生に言って良いかを自分なりに判断していたのかも知れないし,雰囲気作りに懸命だったのかも. 意外と女性には少ないのである. お願いだから,診察は素直に受けよう.次の患者さんも待っているし,性病に罹ることは決して悪いことではない. 悪いのは運だけです.