外来の裏話

カルテNo,45 あの先生はちゃんと見てくれない

患者
23才の男性
主訴
魚の目を治したい
ストーリー
ある混雑している日「足が痛い」と言って若い青年が来た. 「治療は色々あるが何回か通う必要があるけど炭酸ガスレ-ザ-で削ろう」 本人は麻酔を希望していなかったてのである. 治療方法に同意し,治療を開始すると「痛い,熱い」の連発. 今日はこの位にして続きは次回に回すことにした. 午後になって本人が来た. 「あの先生はちゃんと診てくれない」 事情を聞くと,近くの整形外科に行ったらスピ-ルコを貼って貰っただけという.
考察
この患者さんは同じ事をその先生に言って診て貰ったはずである. あの先生の治療は熱いとかちゃんと診てくれないとか...... スピ-ルコでも立派な治療法であると説得し,治療方法は君にも選択権があると説明した. 混雑しているときに治療をして貰っていることを本人は全く気づいていない. 二番目に診る先生が名医と言われるが今回は訳が分からない. 基本的には患者さんには立場上,心理的に自己中心になり勝ち要素はある. 忙しい時には,受付で早くして欲しいと催促する者もいる. 忙しくて診療時間がやむを得ず,短くなると不満をこぼす. 臨床医は臨機応変に対処せざるを得ないので,不本意ながら説明不足の事もある. 初診の患者さんには気を配るつもりでいてもどうしても完璧ではない. その分,雨の日や混んでいない時には時間をかけて丁寧に診て上げる様に心かける. 明日は暇かも知らないから明日経過を見せて下さいとも言えない. 診療時間を計って料金が変わるシステムの導入はどうかと思うこともある. 突発的な病気が多いから歯医者さんのように予約も難しい. 飛び込みの受診料は高く,予約の受信料は安く設定したいと時々思うのは私だけだろうか? 薬を指示通り使わずにあの先生の薬は効かないと言う不平は御免である. きっと他でもうちのことを言っている恐れがあるのである. ちゃんとみてあけませんとも言えない.誰にも言えないよくある悩みの一つである.