外来の裏話

カルテNo,31 働く母親の都合で変わる?

患者
4才の男児
主訴
みずいぼ
ストーリー
「いま,保育園で流行っています」と心配そうに母親が子供と一緒に来院. 診るとお腹に小さなみずいぼが二つ出来ている. 「人に移りますか?」「保育園には行けますか?」「登校許可書は書いて貰えますか?」「どうしても休まないと駄目ですか?」 いつ頃治るとか何を気をつけるべきかなどの一般的な質問とは明らかに異なる質問である
考察
投薬の説明をしながら,母親の仕事を尋ねると決まってパ-ト. 治療法や予防法などまともな質問をする母親は決まって専業主婦である. 子供の病気より自分の仕事の方が気になるらしい. 弱い立場のパ-トの主婦になると,ますます顕著である. 何となくこの事は医師にも分かるので治療法も自ずと多少変わってくる. 短期間で治すにはいぼを特殊な器具で少ないうちに取ってあげたり,テ-プで隠してあげたりして他の部位に移らないように工夫をする. この病気に限らず,このほかにも流行目やリンゴ病など数多い. この様なうら事情があるから速効性のある治療をしないと親の顔色もさえない. しかし,残念ながら無理に保育園に通って他の子に移す事への心配はしない. この場合はやむを得ず,みんなから「あの子と遊んではいけないといじめられるとこの子の性格が変になるかも知れませんよ」と言うとやっとあきらめてもらえる. 核家族化が進み,保育園を休まれると会社を休まないといけなくなり,収入が減る. 時々,医院が保育園を併設すればいいかな?と思ったりもする. 登園許可書の出す時期も母親の仕事によって家族の状況によって工夫しないと不人気の病院に転落してしまうかも.