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クローン病&潰瘍性大腸炎通信-<7>

潰瘍性大腸炎の質疑応答集

これは、本院消化器科医長の北洞哲治先生が、潰瘍性大腸炎患者の会で行った講演の際の質疑応答をまとめたものです。講演そのものより、より実際に即している面が多いのではないかと考え、北洞先生の許可を得て掲載いたします。それぞれの症例については、個人差もあり全てが当てはまらなかったり、また答えようがないものもありますが、我々の一貫した考え方については理解していただけると思います。


Q:25才の息子が潰瘍性大腸炎の患者です。サラゾピリンの治療を受けて、現在は緩解期です。この3カ月の間に一度づつなのですが、電車に乗っている時に突然、身体の力が抜けて気分が悪くなり、すぐ電車から降りましたが意識がなくなってしまい20〜30分間横になっていたら元に戻ったと言うことなのです。それで、てんかんがあるかもしれないと検査を受け、明日結果がわかります。潰瘍性大腸炎の方は、てんかんを持っている人が多いと主治医が言われるのですが、その関係はどうしてか、お尋ねします。

A:潰瘍性大腸炎は大腸だけの病気ではなく、全身的にいろいろな病気を併発することは、よく見られることです。ただ、てんかんは代表的な合併症に入っていません。あなたの息子さんにてんかんがあるとすれば、たまたまのことだと思います。潰瘍性大腸炎は悪化している状態では血小板が非常に増えることがあります。血小板が増えると血液の流れが悪くなったり、血管がつまるということが起こりやすくなります。ですから、病状の悪い状態で、体の力が抜ける、意識がなくなるということが起こった場合は、一番心配なのは頭の中に一過性にしろ、血管障害が生じたのではないかということです。息子さんの場合は緩解期であるとのことですのでこのようなことは考えづらいと思います。てんかんに関しては、私は説明できませんが、主治医の云われたことはこのようなことかもしれません。


Q:潰瘍性大腸炎の状態は、私の医師がわかりやすく説明してくださった時、中の下ぐらいだそうです。私は今、緩解期に入ってまして何をしても、ほとんど普通の状態と変わらないのです。平成4年に他の病気で入院した時、潰瘍性大腸炎であることがわかりました。その時に低残渣食ばかりだったので、本当に痩せて今より10数Kgも少なかったのです。元気になりました今は、サラゾピリンも服用していません。サラゾピリンは、長い間服用し続けると蓄積されるのでしょうか。後、内視鏡の検査ですが、私くらいの症状ですと、どれ位に一回検査をしたら良いか教えてください。

A:まず食事の問題ですが先ほど説明しましたように長い目では、大腸の疾患には食事内容の影響がいろいろな面で表れてくる可能性はあります。潰瘍性大腸炎の治療に関して申しますと、低残渣食というのは教科書には書いてあります。潰瘍性大腸炎の治療には、これが良いとされます。何故かと言いいますと、よく便秘の方には野菜を食べなさいと言います。繊維成分を採りなさいと言います。すると便が柔らかくなります。低残渣食というのは、繊維成分が少ない食事です。下痢が激しい時に繊維が多い食事では下痢がなかなかよくならないということで、低残渣食が用いられる訳です。しかし、下痢が激しくなければ私個人としては低残渣食は必要なく、何を食べてもよいと考えています。ただし、これを食べると下痢しやすいというものがあれば、患者さんに下痢を誘発する食事内容を聞いて、それは避けなさいと言っています。症状が安定していれば何を食べてもかまいません。おいしく食べることが大切です。それくらいの注意でよいと思います。次にサラゾピリンについてですが、あなたは潰瘍性大腸炎の症状は診断時の1回だけですね。それは、今の段階では先ほど説明しました初回発作型に 相当します。今後どうなるかという問題は残りますが、私の考えでは初回発作型の方は、1〜2年サラゾピリンを服用して全く症状がないと言うことであれば、一旦休薬してよいと思います。もし再燃したらその後はサラゾピリンの長期内服を考えなければなりません。サラゾピリンに蓄積作用があるかということですが、これはもともと慢性関節リウマチ治療薬として開発された薬です。慢性関節リウマチは非常に慢性的で長期に亘る病気ですから、蓄積作用はないとされる薬です。実際、潰瘍性大腸炎で10年以上薬を服用している患者さんも多くいますが、蓄積副作用という報告はみられていません。ですから、サラゾピリンはまず問題なく長期に服用できると思ってください。内視鏡検査についての質問ですが、内視鏡は症状のない人であれば、行う必要はないと思います。ただ、薬を止めるときとか、出血した時は、内視鏡で大腸の状態を確認する意味で観察した方がよいと思います。後は、8〜10年以上経過した場合には、発癌の問題もあり症状と関係なく1〜2年に1回定期的に検査されたほうが良いと思います。


Q:私は、注腸検査を年に1回行っています。今は緩解期の状態だと思います。内視鏡は1〜2年に1度と説明されましたが、内視鏡と注腸では、違いがありますか。注腸では、大腸癌の発生はわからないのでしょうか。内視鏡をやらなければいけないのでしょうか。

A:一般の大腸癌の場合は、ポリープを含め腸粘膜が盛り上がってきますので注腸検査で発見されることが多いのです。しかしながら潰瘍性大腸炎の場合は少しやっかいで、盛り上がってくる癌もありますが、困ることに、全く平坦なところに癌が発生していることが、潰瘍性大腸炎の癌化の特徴と言われています。これは、残念ながら今のところ注腸検査では見つけられません。内視鏡でも見残されることが多いくらいです。ではなぜ、内視鏡検査が必要かということですが、内視鏡下では組織が採取でき、病理組織学的に調べることが可能であるからです。組織を採って、病理組織学的に前癌状態のディスプレイシアが発見できれば、癌の発見のみならず、癌の早期予測にもつながり重要な情報が得られます。従って内視鏡検査は大切と考えられます。

 

Q:それは、1〜2年に1度でよろしいですか。

A:まだ統一した見解はないのですが、おそらく、それぐらいで行っていれば、まず問題はないだろうと思います。心配される方は年に1回行ったら良いと思います。
 


Q:34才の息子で現在会社員ですが、2年程前に発病して、それからずっと薬を常用していますけれども、最近とくに下血がひどく、体重も極端に減りました。食欲は、あるのですが、身につかないようです。それは最初に検査した時に全体的でなく、部分的なものだからということだったのですが、最近特に悪い方に進んでいる気がします。潰瘍が移動するとか、拡がっているようです。最初に全体的なものと部分的なものでは、潰瘍の性質が違うのでしょうか。それと薬を続けているのに、極端に体重が減ったり下血がでたり、そういう風に悪い症状に見えるのは心配なのですが、どうでしょうか。

A: まず病気が拡がるかどうかですが、むずかしい問題があります。その問題とは、直腸炎の解釈にあります。直腸とは直腸だけに炎症があるもので、直腸炎のまま経過するものが多いので少し違う病気かもしれないとも考えられていますが、これも潰瘍性大腸炎の中に含まれています。ではなぜ潰瘍性大腸炎の中に含められているかといいますと、最初直腸のみに限られていた炎症がどんどん上の口側に拡がっていく、ということがあるからです。病変が拡がって直腸炎から左側大腸炎、最終的には全大腸炎となることがあります。残念ながらどのようなタイプの直腸炎が、左側大腸炎に移行しやすいかはわかっていません。病変部位が部分的ということが、どういう意味かわかりませんが、一般的には潰瘍性大腸炎は直腸から連続的に病変がみられ部分的にこっちにできたり、あっちにできたり、ということはありません。今の説明では、他の病気も考えなくてはなりませんが、よくわかりません。 それから体重減少ですが、症状を詳しく聞かないと何とも言えませんが、先ほど説明しましたように、血便や粘液便があれば大腸粘膜よりタンパク等を含む血液成分がもれ出ているのです。そうしますと栄 養成分が失われ、食べて吸収しても身につかないということになります。ということは、食べても体重が減るいう状態はありえます。ただし、かなり悪い状態でないと、潰瘍性大腸炎での体重減少は、そんなに起きません。

 

Q:そうすると、食べても身にならないということは、それだけ病状が悪化しているわけですね。

A:そう考えられます。

 

Q:だから中途で薬を止めたとか何かあればですが、ちゃんと薬を守って服用していたのですが、どうしてでしょうか。

A:今日、話の中であまり強調しなかったのですが、実際には潰瘍性大腸炎の病状には先ほど質問の中にもでましたように中の下とか、かなり幅があります。同じように見える潰瘍性大腸炎でも初回発作型、再燃緩解型、慢性持続型という型があり中でも慢性持続型は治療にもかかわれず、非常に治りずらいのです。特に先ほど申しました病変が拡がっていく例は難治性であることが多いと言われています。その場合、薬を服用していても悪くなることがあります。その時は、治療方針を見直さなければいけないわけですが難しい問題です。ですから緩解維持療法を行っていてきちんと通院して薬を服用していても、症状が悪化することはありえます。この点をふまえて息子さんの場合どういう状態にあるのか主治医とよく相談されることをおすすめします。

 

Q:まだ発病して2〜3年ですが、癌になることはありますか。

A:疫学調査による日本での潰瘍性大腸炎癌合併症例30数例の中には1年目に発見されたとの報告もありますが、その詳細ははっきりしません。日本よりはるかに症例が多い欧米での報告をみますと、早くて7年と言われています。絶対にないとは言えませんが、発病2〜3年ということは一般的にはないと思います。潰瘍性大腸炎があることによって誘発されると推定される癌は、発病10年以内では、稀と考えられています。


Q:今、27才です。4年前に全大腸炎型で発病しました。この1〜2年の間にちょくちょく入院するのですが、その入院の原因として腹痛と血液検査のCRP値の上昇があります。医師から、痛みとCRP値の変化で入院することは潰瘍性大腸炎としては少し考えにくい、と言われています。その意見はどうでしょうか。

 

A:主治医の先生がCRP値が上昇することが潰瘍性大腸炎としては説明しずらいということですか。

 

Q:潰瘍性大腸炎とつながっているのかどうか、はっきりわからないと言われるのです。

 

A:内視鏡像とか見ないと答えづらい面がありますが、先ほど説明しました症状のところで、発熱、るいそうとかの全身反応というものがありました。発熱など全身反応が生じる際は、大腸の炎症が強く、局所のみでなく血液にも反映されることより当然血中のCRPは動きます。CRP値が上昇していれば相当強い炎症が大腸にあるということを示しています。

 

Q:白血球の増加とは、また違う分野のわけですか。

 

A:必ずしも同じではありませんが、炎症の指標としては似たようなものです。炎症が強くなりますと白血球は増え、CRP値は上がります。

 

Q:最近、CRP値が上がって入院したとき、その前に外来で内視鏡検査を受けたのですが、案外腸の状態はきれいだと言われました。

 

A:腸がきれいなら、CRP値上昇の原因は、残念ながらわかりません。

 

Q:症状としては血便はでませんが、下痢にはなります。

 

A:講演の最初に内視鏡写真のスライドで示しましたように、全身反応のでる状態というのはびらんより出血の伴いやすい潰瘍に近い状態になっているのが一般的だと思いますので、内視鏡できれいで血便もないのであれば別の要因を考えざるを得ません。主治医の先生が言われるようにあなたの場合潰瘍性大腸炎だけでは説明がつかないと考えられます。それ以上の説明は今出来ません。


Q:先ほどの質問の中で、血小板が増えて脳の血管が一時つまったのではないか、と言うことですが、血小板はどうしてふえるのでしょうか。

A:血小板がなぜ増えるかということは非常にむずかしい問題です。身体は炎症が起きますと出血を伴うことが多く、出血すると止血作用を有する血小板がそこに作用し、どんどん消費されます。慢性炎症が大腸全体にありますと、長時間、広い範囲で常に多量の血小板が使われ失うことになり、その結果身体の中で血小板を補給するため一生懸命造ろうとするわけです。その際、造り過ぎる可能性があります。そのため慢性の炎症がある場合は、潰瘍性大腸炎に限らず血小板が少し多めになることがあると推定されます。なぜかわからないのですが、その中で異常に血小板が多くなる方が稀にいます。血小板は通常20〜40万/mm3ですが、それが70〜80万/mm3以上になる方がいます。その場合に、血管が血小板で詰まって、血栓性静脈炎が生じやすくなると言われています。血栓性静脈炎は潰瘍性大腸炎の合併症の一つとされていますが、非常に稀なものです。

 

Q:もう10年くらい経つのですが、内視鏡検査を全然受けていませんので、それぐらい出血している可能性があります。

A:10年の経過があるのであれば、内視鏡検査は一度受けた方が良いと思います。患者さんは、一般的に内視鏡検査を嫌がりますが、臨床上必要とされる時は受けた方が良いと思います。病状を知るのに一番確かな検査法です。

 

Q:今、話にありました血小板が増えると静脈炎になるということですが。

A:静脈炎というより、血液の流れが悪くなったり詰まりやすくなるということです。

 

Q:それで予防みたいなことはないのでしょうか。脳血栓になってしまったのですが、静脈炎にもなりました。

A:完璧な予防はむずかしいのですが、それなりの薬はあります。血小板があまりに増えてしまった時は少し血小板の機能を抑制するような薬を併用することは出来ます。ただ、非常にむずかしいのは血小板の機能を抑制すと今度は出血が止まりにくくなるという問題が生じることです。

 

Q:それは主治医に言われて、何も薬をだしてもらえません。

A:その病態によっては一方には良くても、もう一方には悪くなるという作用を持った薬がありますから、そのバランスをどこに置くかは実際むずかしい問題と思われます。臨床的にどの時点で何を使用するかということは病態をよく把握した主治医の先生のその時点でのメリット、デメリットを考慮した上での判断で決定することが大切と思います。


Q:サラゾピリンの副作用について伺いたいのですが、私は11年前に発病しまして、ほとんど手術で20cm足らず、上行結腸と直腸の一部が残っているだけです。10年程前に退院してから、サラゾピリンを錠剤で1日4錠と坐薬を2錠使っていますが、状態がだいぶ良いので、自分の判断で半分に減らして使っています。退院してしばらくの間、指示された通りに使っていた場合、鼻血が出やすかったのです。少しのぼせるとすぐ鼻血がでました。薬を減らしてからは、そういうことが無くなりました。2カ月程前、病院を変わりまして、その時に指示された通りに薬を使ったら、やはり鼻血が出やすくなりました。これは副作用として考えられるのでしょうか。

A:私の知識の範囲内では、鼻出血についての副作用は知りません。ただ、あえて想像しますと、サラゾピリンが、炎症等に関わりのあるプロスタグランジンと言う成分の産生を抑制すると言われています。プロスタグランジンには血小板の機能をコントロールする因子が含まれており、プロスタグランジンの産生が抑制されると血小板機能にも影響があらわれ出血しやすくなることは理論的にはありえます。ただ、それにしても鼻血が出やすくなるというより、出血がやや止まりづらくなるということです。その時、耳鼻科で診てもらいましたか。

 

Q:いえ、特に診てもらっていません。じっとしていれば落ちついて、そのうち止まってきます。

A:鼻出血しやすい血管があることがございますので、一度、耳鼻科で診てもらった方がよいのではないでしょうか。


Q:42才の息子ですが、去年10月13日に血便がひどくなり入院しましたが、19才の時に血便がでて、それから2〜3年経ってでたとか、在学中の旅行中に血便がでたとかありました。入院する1カ月程前にお腹がものすごく痛くて、子供のころからのかかりつけの医師に診てもらいましたら、レントゲンで結石があると薬をだされ服用したらお腹がパンパンに張り、大変な腹痛でしたがそれは何とか凌ぎました。しかし、血便が出はじめ、他の病院へ行きました。今年の3月13日まで5カ月間入院した後、テスト退院して、その後経過が良く便の回数も1日2回ぐらいで血便もほとんどありません。お聞きしたいのは、サラゾピリンとステロイドと両方の治療をしてきましたが、本人はサラゾピリンを服用するとどうもお腹の中で火山が爆発するような気がするんで、だれにも言わず服用していなかったらしいのです。そういう状態でも1月9日までには流動食が入るまで良くなりました。今は体重も3Kg増えました。本人は潰瘍性大腸炎と診断されているが違うと思うと言っています。そんなわけで、今も2週間に1度通院してサラゾピリンをたくさんもらってきますが、服用していません。サラゾピリンとステ ロイドは潰瘍性大腸炎の特効薬と思いますが、ステロイドも今はなくなりました。その2つを使わず良く、血便がでて再燃したらどうなるのか、迷いがあります。

A:19才から血便がたまにみられ、潰瘍性大腸炎の診断が42才時についたということはその期間が少し長すぎる気がします。確かに患者さんによく聞きますと、潰瘍性大腸炎と診断がつく以前の2〜3年の間に、たまに血便がみられたという方が多くいらっしゃいます。血便がポツリポツリとあってから、ワッと発症するというのは、潰瘍性大腸炎発病の一つのパターンだと思います。ただ、あなたの息子さんが本当に潰瘍性大腸炎であるのかと言うことは、私は直接データをみていませんのでわかりませんし、今のお話のみでは答えようがありませんがステロイドは有効であったようで、たぶん息子さんは先ほどお話しました初回発作型に相当します。初回発作型とは治療緩解後ずっと症状のでない人の病型です。初回発作型が他のタイプの潰瘍性大腸炎と同様であるのかは難しい問題ですが、発症時診断の時点では他の潰瘍性大腸炎と全く区別がつかず、炎症像、内視鏡像、レントゲン像も同じです。初回発作型でその後再燃のない場合は、私は1〜2年サラゾピリンを飲まれたら1度休薬して経過をみても良いと思います。ひょっとすると、初回発作型は先ほど説明しましたような免疫を介したややこしい病態 とは違う病気かもしれません。息子さんも無治療のまま経過をみることも一法と思われますが、ただ、再燃がみられた時は、病状を詳しく調べるとともに、その後の治療方針をしっかりと決めなければいけません。それからサラゾピリンの副作用についてですが、アレルギー等いろいろありますので、息子さんのようにかくしておかないで主治医の先生に素直に話した方が良いと思います。薬がもったいないです。それに通院するのも大変です。主治医の先生とよく相談して一度無治療のまま様子を見られたらいかがでしょうか。


Q:24才の娘のことです。まだ、潰瘍性大腸炎かどうかわかりません。4年前から近くの病院へ行って、症状が潰瘍性大腸炎と似ていると言われています。今日来ましたのは、娘が結婚を控えて下痢と出血があり、こわくて食べられない状態だからです。現在、漢方薬を服用しています。近くの病院で潰瘍性大腸炎かどうか検査してもらっています。今までこわくて食べられず困ってきました。さし当たり、何を食べさせたらよいか教えてください。私は高タンパクが良いと思うのですが、娘は本当にこわがってくだものや繊維のあるものを食べません。食べるのは、豆腐とおかゆ等で、おそらくカルシウム不足だと思います。こんな状態なので親として心配で、その病気とは別にもしこの状態が長く続くようでしたら、当面どんなものを食べさせて、健康にしたらよいでしょうか。

A:一番大事なことは診断をはっきりと受けることです。4年の経過があり、潰瘍性大腸炎であるかどうかの診断はつけられると思います。食事の問題ですが、食べるのがこわいというのはお腹が痛むのですか、下痢しやすくなるのですか。

 


Q:ストレスと過労の後、出血して下痢をします。病院へ行き検査、検査でも、結果は何ともなく、薬を服用しても止めてしまいます。それで、痛みと出血のこわさから食べないと言うのです。

A:出血を伴う下痢があり、検査で異常がないというのは理解に苦しみます。今のお話ではまず診断をはっきりさせることが第一歩と考えます。その上で娘さんが納得する病状の説明をしなくてはいけません。潰瘍性大腸炎であればあるということで、どういう食事がよいのか、きちっと説明すれば無用の不安はとりのぞかれ、食生活は改善されると思います。私の考えでは、潰瘍性大腸炎であったとしても、何を食べてもかまいません。

 

Q:今のような状態でもですか。

A:入院するような状態であれば話は別ですが、入院しないで日常生活ができる範囲であれば、バランスの良い食事をとられるのが一番です。下痢が心配であれば、先ほど説明しましたように、繊維類を少し控えめにすることです。完全に止めるのではありません。少なめにすることです。食事というのは、何かを止めてこれだけという偏った内容はよくありません。ただ、本人は知っていると思いますが、これを食べるとお腹が痛むとか下痢をしやすい幾つかの食品は避けた方がよいと思います。後は何を食べても結構です。食事は楽しく食べることが大切です。娘さんで気になることは、ストレスと過労の後に出血、下痢が生じることです。正しい診断、治療は不可欠ですが、食事に対する誤った思いこみが、新たなストレスとなって病状を悪化させているのではないでしょうか。先にも述べましたが、腸はストレスに弱い臓器です。正しい理解のもと楽しくバランスよく食べことが肝要と考えます。

 


Q:先ほど、薬の説明にあったマストセルスタビライザーのことなのですが、まだ保険が効かないとかありましたが、薬の副作用と妊娠を考えているのですが、その時の胎児への影響を知りたいのですが。

A:一般的に云って、重大な副作用はほとんどありません。この薬は、喘息とかに長く使用する薬で副作用は比較的少ないとされます。しかし、比較的新しい薬ですから妊娠に関しては臨床データに乏しいのが現状です。妊娠を考えるなら、この薬を使わなくてもすむ状態、サラゾピリンだけで維持できる緩解状態がよいと思います。この薬を使っている時の妊娠は避けられた方がよいと思います。


Q:2つお聞きしたいことがあります。

まず、一つめはハウストラの話がありますが、一度ハウストラがなくなるともう元には戻らないのかということ。二つめは、出血があり肛門科にいきまして内視鏡検査を行いました。そしたら、直腸付近に少し傷があり、盲腸の近くに潰瘍みたいなものがありました。この段階で医師に潰瘍性大腸炎みたいに言われました。素人的にみて、胃に潰瘍で胃潰瘍と同じで、大腸の中に潰瘍で潰瘍性大腸炎ということになるのですか。

A:ハウストラに関しては、全く元通りに戻る方がいます。たぶん、これは炎症の程度に関係していると思います。炎症性ポリープができる人とできない人がいますが、ハウストラも全く戻らない人もいますし、戻る人もいます。治った後のバリウム注腸像をみて、これが本当に潰瘍性大腸炎だったのかと思う場合もあります。内視鏡の所見に関しては、今の説明では何とも答えようがありませんが、直腸と盲腸に潰瘍があったということですか。

 

Q:組織検査を行って潰瘍性大腸炎と言われる人ならわかるのですが、その前に内視鏡を見ただけでわかるのですか。

A:それはわかります。組織は診断根拠の一つとなりますが、慣れた医者がみれば典型例では内視鏡だけで診断することは可能です。生検を行えば、診断がより確実になるとともに炎症の程度までわかるということです。

 


Q:私は今年の初め頃、潰瘍性大腸炎に間違いないと診断されました。生検も行い、それで判定されたわけです。サラゾピリンとステロイドをいただき、薬を使っていたのですがいっこうによくならず、ますます悪くなるばかりだったのです。そこで、別の病院で調べてもらったら、これが腸結核だったのです。それで、潰瘍は確かに直腸にはなかったのですが、S状結腸から大腸全体にわたってできているのを確認したわけです。それで培養して腸結核だと判明し、今は結核の専門病院にかかっています。腸結核が治っても、潰瘍が残り、潰瘍性大腸炎になるのではと心配しています。

A:潰瘍性大腸炎の場合だけでなくクローン病も含めてですが、腸結核は、鑑別診断されるべき重要な疾患の一つです。この際内視鏡やレントゲン検査で鑑別できますが、非常にむずかしい場合があります。先ほど、診断法の説明のスライドに示しましたように、潰瘍性大腸炎の診断にあたっては必ず細菌学的検査がなされるべきであり、腸結核も否定しておかなければなりません。結核の否定はむずかしい場合もあります。腸結核であっても、細菌学的検査で確定できる場合もありますが、同定出来ない場合もあります。組織学的検査でもわかるとき、わからないときがあります。腸結核が疑われ、どうしても否定できない時は、潰瘍性大腸炎、クローン病の治療の前に結核の治療を試みることもあります。腸結核であれば、抗結核療法で改善が認められます。腸結核が治った後に潰瘍性大腸炎になるということはありません。

 

Q:今、薬を服用して4カ月になり、健康体と同じに戻っています。脂っこいものを食べるなと言われ、少し食べると粘液がでます。それが一番心配なことです。

A:炎症がありますと、あまり刺激しない方がよいです。腸結核でありますと、少し治療期間は長くかかりますが、完全に治ります。その後に潰瘍が残るとか潰瘍性大腸炎になることはありません。

 

Q:炎症を起こしたところがひどいのです。私も内視鏡で見ました。あれは壊死してしまうのでしょうか。

A:壊死しても、再生します。ただし、腸に変形が残ったりすることはあります。腸結核は比較的深いところまで炎症がおよびますから、潰瘍性大腸炎よりも変形が起こり易いのです。ですが、潰瘍は治ります。

 

Q:食べ物でも気をつけた方がよいですね。炎症がある場合は潰瘍性大腸炎と同じように繊維とか脂っこいものは食べない方がよいですか。

A:少しぐらいよいです。あまり神経質にならないほうがよいと思います。

 


Q:息子が患者で潰瘍性大腸炎と診断されています。入院もしました。昨年からずっとステロイドを服用しています。実は、6年前に出血がありましたが、病名がはっきりしまいまま、いったん良くなりました。昨年からまた悪くなって、ステロイド半錠と注腸をしていまして、粘液が多く便の回数の多い日と少ない日があります。病状のバロメータとして考えるのに、私たち素人は便の回数の多い少ないで決めてよいでしょうか。通院は続けています。

A:素人の方だけでなく、治療する側も基本的には便の回数や粘血便の程度で判断して治療の指標としています。

 

Q:便の回数とかを先生に報告すれば良いのですね。ステロイドは徐々に減って半錠ですが続けて大丈夫ですか。

A:半錠なら10mg以下ですから、その先生の判断に従い続けても問題ありません。潰瘍性大腸炎は残念ですが、ピタリと症状が良くなることを求めないでください。ある程度の症状が残っても普通の生活ができれば良しとするぐらいの気持ちの方が良いと思います。

 

Q:時にはサーフィンに行きたいと言いますが、止めています。

A:それは、止めない方が良いと思います。何も出来ないのもストレスですから。大切なことは自分の意欲です。同様のストレスと考えられる徹夜でも、自ら求めた徹夜は大したストレスではなく、人から押しつけられた徹夜は大変なストレスとなります。ですから、あれもダメこれもダメというのではなく日常生活が可能な状態であれば今一番やりたいことは積極的にしたほうが良いと考えます。この病気は現在根治療法がありませんから病気と上手く付き合うことを考えて下さい。その結果病状もよくなることが期待されます。無責任な言い方かもしれませんが、病気は医者にまかせて、患者さんはあれをしたいこれをしたいと相談した方が良いと思います。そして、医者のアドバイスを聞く。あまり自分で病気を考えすぎて良くしよと思うとかえっておかしくなります。自分で無理して処理する必要はありません。運動もできれば行ってもかまいません。これをしたから少しまずかたとか、そういう事は自身でわかると思いますのでその際は避けた方が良いと思います。要はくよくよ考えないで活動的に前向きにやっていった方が病気にとっても良いということです。  

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