外来の裏話

カルテNo,3 もしもし,名前が違うのですが...

患者
28才独身女性
主訴
傷跡を治して欲しい
ストーリー
某美容外科での手術ミスの傷跡を綺麗にして欲しいとして来院.
眼の周りの初期的な傷跡で炭酸ガスレ-ザ-で削ることになった.
費用は2万円ですが,一部は保険で適応できる部分もありますと説明し,次回の手術の予約をして帰る.
予約の当日,今度は同じ顔なのに明らかに違う名前だ.
偽名で受診するつもりであったらしい.
一部保険が利くと聞いて本名を名乗ったのであった.
無事手術が終了し,もう一度古いカルテを覗いてみると,本人の書いた住所も電話番号もすべてがデタラメではないか?保険が効くと聞いて安い方がいいと思ったのだろう.
万が一,医療事故があっても偽名を使うと不利になりますからと説明してあげた.
考察
代理の診察がしばしば話題になることがある. 特に目立つのは不法滞在の外国人である. 気持ちは分かるが性別と年齢は近い方がいいのに... あるいは最初から告白すれば安くしてあげるのに....と思うことがある. 悪質な例としては保険の診査の代理受診である. 何となく見抜けられるものである. 見抜けられないのは検尿の時と思われるが一度も不正がない. スポ-ツ選手のド-ピング検査のような物. 心理的に他人の尿を出す勇気は持てないようである. 心ある医師も多いので事情を説明して安くして貰えばよい. 自由診療は言葉の通り,価格自由なのだから.(悪用する医師もいるかも知れないが)不景気になると会社が採用の時,社会保険があると偽って採用し,病気になったら8割を負担するケ-スもあった.保険制度の抜本的な見直しはいつの日か?