外来の裏話

カルテNo,21 名医と呼ばれる秘訣は

患者
不特定多数
主訴
熱が下がらない
ストーリー
「3日前から熱が下がりません」と来院。 すると,まず「ちょと手遅れてしまいましたね,もう少し遅れたら入院ですよ」 本人は驚いて「本当ですか?」「色々な原因が考えられますので早速調べましょう」と続く。「明日も来院して下さい」と言って解熱剤を出す。 翌日は少し改善したが,今度は咳が出てきた。 「風邪のようですが,明日は昨日の検査結果が分かりますので・・・・・」 「咳止めを三日間併用して下さい」 さらに翌日「先生,良くなりました。名医ですね。出遅れだったのに・・・・・」 もし,改善されず悪くなった場合も「先生のおっしゃる通り出遅れでした。名医ですね」
考察
医師過剰時代は明らかに競争を産み,医師にとって患者の獲得と名医と呼ばれる為の工夫が要求されるようになった。 まず,初診の患者さんは神様である。 ファスト インプレッションはどの業種でも大切。 診療所の雰囲気は非常に大切である。 受付の応対,電話の応対の教育はサビ-ス業に準じるべきである。 医師は治療方針が多少異なるが,中身はかなり変わる。 いかに患者さんのタイプを素早く見抜き,適切な治療を行わうかが大切である。 注射の時,痛いですよと打つべきか,痛くないですよと打つべきかはそのタイプを見分けてから。 医術は算術と言う言葉があるが,信頼される医師でなければならない。 まず,嫌われやすい混む医院はむしろ安心である。 孫の自慢話も延々と聞いてあげられる心のゆとりを持った暖かいホ-ム ドクタ-でありたい。 いかに患者さんの心を掴むかによって名医かどうかが決まる。 今,何を求めているかを瞬時かつ正確に読める医師でありたい。 同じ人間なのに,偉そうに威張る時代は残念ながら(?)もう終わった。 医療を受ける権利を医師の機嫌が損なうことがない範囲内で聞く姿勢が重要である。 僕はメモ用紙に病状を説明して渡すことにしている。 良く聞いてくれないのは自分の治療に自信がないか患者を点数としか診ていないのである。 出来れば終診間際と診療開始直後の混雑時は避けた方が賢明である。